部屋でさっきのことを考えて唸ってると、

同室の健さんと渉が、

不思議そうに俺をみる。

「なに、怖いんだけど。」
「祐真さん頭大丈夫っすか?」

最近敬語もずいぶん簡略化されて、

俺に対して軽口をたたく渉を一瞥すると肩を竦める。

「マジギレじゃないですか。」

返ってきた言葉にため息をつく。

あおは、どうしてあんな顔をするんだろう。

どうして何かを守ろうとして、

自分を傷つけようとするんだろう。

「莉緒となんかあった。」

水を飲みながら、ソファにこし掛けて足を組みながら健さんがいう。

言っていいのかどうなのか。

なんて言えばいいんだろう。

現状の把握がまだ俺自身もできてない。

黙った俺をみて肯定と捉えた健さんが、

「さっき莉緒の顔も疲れてた。」

渉は俺とあおが喧嘩でもしたのかとおろおろし始める。

口を開こうとしたとき、

控えめなチャイムが鳴る。

渉が部屋の戸を開けると女の子の声。

「あのっ、蒼井さんいますか!」

リサちゃん?

渉のアイコンタクトに健さんが了承して、

リサちゃんが入ってくる。

「どうした?莉緒は?」

「莉緒は、1人で勉強してます。今日は別のカメラを置かせてもらってて、その間に見て欲しいものがあって。」