「皆さんのトレーニングの内容の連絡でしたよ。」

そう言って祐真さんの横を通り過ぎると、

「…嘘つき。」

と小さな声がする。

聞こえないふりをして、

歩き始めると、

「あお、好きだよ。」

思わず足を止める。

え?

振り返ると、

祐真さんは真っ直ぐにこっちを見てる。

目には強い光。

…眩しい。

「あお、好き。俺が一番輝く。だから、」

「ゆ、祐真さん!」

慌てて祐真さんの言葉を遮る。

その先を聞いてしまったら私たちはもう後戻りできない。

心臓が騒がしい。

「祐真さん、私も祐真さん好きですよ!…大事な仲間ですから!」

うまく、笑えてるかな。

視線の先の祐真さんは、

酷く戸惑った顔で、

少ししたら眉を下げて、

「うん、そうだね。俺も。」

と答えてくれる。

ホッとする気持ちと、

最近自覚しつつある気持ちを隠すうしろめたさ。

本当は、

祐真さんにそんな顔させたくない。

いつでもコートの上みたいにキラキラさせたい、けど、

…それはきっと私の役目ではない。

2人の間の重い空気は、

そのあと祐真さんが積極的にいつも通り話しかけてくれるからいつのまにか気にならなくなった。

逃げちゃダメなのはわかってる、

けど、この状況は逃げないといけないことも悲しいけど事実。