次の日の朝、

ホテルの食事の準備を手伝って、

自分の食事を最後に取ろうと先に座ったら、

正面にいたリサが少し驚いた顔をしたと同時に、

暖かいものに体が包まれる。

「あおー、おはよ、俺を嫌わないで。なんかした?直すから〜」

聞こえてきた声は、

昨日私を動揺させた人と同じ人で。

「…祐真さん、食事中ですけど。いきなりどうしました?」

後ろから巻きついた腕を引き剥がしながら平然というけど、

本当は心臓が少し騒がしい。

…リサの言う通り、これは仕方ないよね。

だってあんなにキラキラとバレーする人からこんなことされたら、

うん、誰でもなるよね。

「えー、だって健さんが俺があおの連絡先知らなかったの最後って。俺が絶対一番初めに聞いたのに!」

そう言われて思い返す。

確かに、

他の人にはすぐに教えた…けど、

祐真さんとは極力近づきすぎないようにって、

あのときは意識してなかったけど、

今思うとそう感じて教えなかったのかも。

引き剥がしたはずの手がまた身体に巻きついてて、

さっきより力が入ってる。

「嫌ってないです!離してください〜」

「嫌ってない?」

早くこの状況をなんとかしたくてうなずく。

「じゃあ好き?」

うんうん。

ん?

「やった!あお、俺も好き!」

さらに力を込められた手と言葉に、

やってしまったと思ったのも後の祭り。