俺はバレーボールが大好きで、
バレーボールが俺の人生と言っても過言ではないと思う。
コートの中というのは神聖な場所というか、
大切な場所で、選ばれたものしか入ることができないその場所を、
取材の人とかが何も考えずに入ったり物を落としたりするのがすごく気になることがある。
「ちょっと、さすがにそれはできないよ。帰るから!」
そうやって断る彼女に驚いたのと興味が湧いた。
立ち上がって、
彼女の元まで行く。
彼女は新たに近づいてきた俺に戸惑ってるみたい。
「なんでコート入りたくないの。」
「え…コートは私にとって大切な場所で思い入れがあるというか…責任を持って立つべき場所というか…」
面白いと思った。
「責任?」
俺の言葉に彼女は、
「だって、6人、リベロも入れて7人しか立てないんですよ?私は…選ばれた人しか立てないし選ばれた責任があると思います。選ばれなかった人の分まであのステージで輝く責任が。」
目を逸らさずにまっすぐな瞳で、
力強い言葉で言い切った。
その目は全てを見透かすような目だった。
「す、すみません、生意気言いました!と、とにかく帰ります!」
健さんにじゃあねと声かけて出て行こうとする彼女の腕を反射的に掴んでしまった。
「えっと…あの?」
「また話してる途中でいなくなるの?」
彼女はパチパチと瞬きする。