君を輝かせるのは私だけ。


疑問に思いながらも警備員の人についていく。

連れて行ってもらった先は体育館のフロアにつながるであろう扉の前。

え、ここから先は?

そう思って警備員さんの方を向くけど、

「では、失礼します。」

と言われてしまい、

「え、あ、ありがとうございました!」

と反射的に答えてしまった。

いつ、どのタイミングで開けたらいいんだろう…

扉に耳を当ててみると、

中から聞こえるシューズが床を蹴るキュッキュッという高い音と、男の人たちの声。

…練習中。

悩んで悩んで15分くらい扉の前で頭を抱えていたら、

一つの返事を機に中の音の統一感が薄まる。

再び耳をすませば、

休憩中みたい。

よし、いまだ!

出来るだけ早く持って来いって言われたから終わるまでは待たない方がいいだろう。

ーコンコン

控えめなノックを一応する。

まぁ、雑談したり、自主練してるだろうから聞こえないと思うけど、

礼儀として一応…

ゆっくり扉を最低限開けて、身を滑らせて中に入ると、

体育館特有の香り。

自然に頬が緩む。

…いいなぁ。私もしたい

ボーッとしてたら、

「危ないっ!」

どこからが声が聞こえてきて、

視線を向けるとすごい勢いのボール。

サーブ練習の途中でふかしちゃったのかな?

反射的にレシーブして、ボールの勢いを殺してからキャッチする。

「わぁぁ!最新のボール!」

手に持ったボールに興奮する。