うん、やっぱり、欲しいな。

何度も何度も足を運んで観に行って思った。

結局彼は全国の舞台に立つことはなかった。

でも、彼がいい。

そう思って、けんくんに連絡すると、

けんくんがオッケーサインを送ってくれる。

監督やコーチ陣達と話した時、

この子が欲しいです、と言った私に、

「今のメンバーじゃだめなのか」
「完成されつつあるチームを壊すメリットがない」

そんな声が多かった。

でも、私はまだあと3年ちょっとあるのに今のメンバーだけで完成されたチームをさらに底上げしても限界が見えると思う。

もっと想像もしないような道をこじ開けてくれるような、さらにその後の四年後を引っ張れるような子が欲しい。

そうやって言う私に出された課題は、

自分で説得して、合宿に参加させ、そしてそこでコーチ陣を納得させること。

監督はもともと少しこの子のことを小耳に挟んでたのか、

面白そうだな、の一言だった。

若い子なら春高経験の子から、取ればいいだろうって意見もあった。

でも伸びしろの大きさはこの子が1番だと思ったから。

何度も見に行く私に、いいと思うと言ってくれた祐真さん。

けんくんや祐真さんが信じてくれる私の直感を信じたい。

「あのっ、」

さぁ、私、一世一代の勝負だよ。