タクシーから降りるとまた少し距離を取る。
堂々と隣に立ってほしい気持ちと
変な悪意に巻き込まれて欲しくない気持ち。
そんなモヤモヤを抱えてたら御目当ての場所らしいところに。
思ったより小さいな。
そう思ってたら、
「今日県大会やってるらしいんだよ。」
「は!?県大!?」
思わず声を出す。
全国とかじゃなく?
関東大会とかそう言う規模でもなく?
「俺もそう思った。でも、莉緒がどうしても見たいって言うから面白いもん見れるよ、きっと。」
健さんがニヤニヤする。
この人本当あおへの信頼すごいなって思いつつも、
一緒にニヤニヤしてしまう自分も大概だ。
靴からシューズに履き替えてギャラリーに。
「え、」
ギャラリーについたと同時にあおが凄い勢いで行われてる試合に食いつく。
その早すぎる動きに一瞬立ち尽くすけど慌ててついていこうとする、けど、
「あのっ、宮本選手ですよね!」
「え、蒼井選手も!」
ここは男子の大会とは言え、
バレーボールの会場な訳で、
すぐに俺も健さんも囲まれる。
「ちょっとごめんな、試合してる人もいるから騒ぎにしないでもらっていいかな?」
健さんがやんわり断って、
俺の腕を掴んであおの近くまでいく。
遠巻きの視線はもちろんすごい感じるけど。