君を輝かせるのは私だけ。


もー!けんくん忘れ物するなんて!

お母さんのお誕生日をお祝いした次の日にはもうけんくんは家をあけていて、

忘れ物をしたから届けてくれなんてメッセージが入ったのがさっき。

春休みだからいいけど、

他県まで届けに行くなんていい妹すぎる!

と自分を褒め称えながら、

新幹線に乗って兄がいる場所に。

「ついた…」

三時間くらいかけてついた場所。

大きな体育館。

私入れるのかな。

今日はギャラリーに人を入れていないのか、

出待ちするファンのみ。

それでもすごい人だなぁ。

…ファンの人に紛れて渡せばいいのかな。

…どうしたものか。

右往左往していたら、警備員の人と目が合う。

歩いてくる警備員の人に、

え、なんか変な人に見られた…ってことだよね!?

軽くパニック。

「あの、蒼井選手の妹さんですか?」

「へ。あ、そうです。なんで…」

「蒼井選手から、そのシューズケース絶対持ってくるだろうから持ってる人いたら声かけてみてとお願いされてまして!よかったです!こちらです!」

私は自分の持っていたシューズケースを見る。

兄であるけんくんからもらったこのシューズケースとシューズは宝物で確かに体育館に行く時は持ち歩いてるけど…

そんなに目立つシューズケースだったかな?