宮本さんの方を見ると、

視線が離せなくなる。

整った顔。

バレーボールをするために短めな、

でもおしゃれな少し固そうなツーブロックの髪。

何よりバレーにひたむきで常に上を向き続ける、

…力強い目。

「データ不足…ですか。」

私の言葉に笑う顔。

この人…色んなもの持ちすぎじゃない?

神様は不公平だと感じるくらい、

この人はすべてを待っている気がする。

いや、バレーにおいては、

努力して手に入れている、が1番正しいのかも…

「そ、データ足りない。俺がどれだけあおに興味を持ってるかわかる?どれだけあおとのバレーを楽しんでるかは?…それからどれだけあおに祐真って呼んで欲しいかわかる?」

次々と流れるように聞かれる質問はどれも初耳で。

「バレー以外の俺には興味ない?なんて、自分が言う日が来るなんて思ってなかったよ。」

嬉しそうに優しい顔で笑って私を見る。

…これはまずい。

私は慌てて、

「み、宮本さん、睡眠も大事です!明日試合なので寝てください!」

と返すと、

「逃げんな。」

と、頬を片手で摘まれて、

「…逃げてないです。」

そう弱々しく返す。

「…明日の練習試合スパイク一本もミスなしブロックなしだったら、祐真って呼んで。はい、決定事項、じゃおやすみ。」

え、ちょ、えええー!

勝手に決めて勝手に出ていく背中に驚くことしかできない。

な、なんなのあの人!!