少しの部屋の沈黙。
日に日に部屋に来る先生の顔が暗くなってくる。
明日は準決勝。
「あの、蒼井さん、やはり彼女を外すことはできませんか。」
ついに今日先生がそう口にした。
その瞬間、渉が持ってたペットボトルを落として、
その鈍い音が静かな部屋に響いた気がする。
「あいつはこのまま続けると、どうなりますか。」
「…」
先生はなぜか俺の方を見て、
言いにくそうに口を開く。
「…このまま酷使し続ければ、今後走ることはできなくなるかもしれません。今歩けているのもおかしいんです。」
無意識にグッと手を握る。
痛みを感じることなく握りしめていた手を、
健さんが包んでくれたことで、
自分の手が強く握りすぎて爪で血が出てることに気づく。

