君を輝かせるのは私だけ。

指示は出すけど特にハラハラすることなく、

準決勝を勝ち進んだ。

メダルは確定。

日本ではすごい快挙の瞬間。

決勝が決まった途端、

メディアや観客のボルテージもマックスになってきてる。

試合が終わって、挨拶やインタビューが終わると、

渉が寄ってきてくれる。

「あおさん!どーしよ!めちゃくちゃバレーが楽しい!」

私は笑う。

嬉しい。

「うん、すんごい楽しそう!私も早くやりたい。」

そんな会話をした横を通り過ぎていくのは祐真さん。

実はオリンピック前にはよく話してたけど、

始まって特に決勝トーナメント前からはほとんど話してない。

それは仲が険悪とかそう言うのじゃなくて、

祐真さんがスイッチが入ってて、

彼の集中力が高まってる証拠。

決勝は、明日。

今日もミーティングもあるし、

私は私で頑張ろう。

通り過ぎて行った背中を見ながら、

彼の背番号に手を伸ばして、

手を強く握りしめる。

置いていかれないように、

あなたに追いつけるように、

その横で笑っていられるように。