なんとか足を動かして、ホテルの外に出ると、

目の前に人たがりと救急車。

「あお!!」

その光景を見た途端身体が一気に沸騰して動き出す。

車が来てるのか来てないのかなんて確認せずに飛び出していって、あおのとこまで1番早い道を通る。

「莉緒…。祐真を、渉、任せていい?状況報告して、監督たちに伝えてくる。」

「そんなん俺やります!早く、あおさんのとこ!」

「…渉、頼んだぞ。」

「〜っはい、」

そんなやりとりは俺には聞こえてなくて、

渉が少し遅れて俺の後ろにくる。

目の前には、

ぐったりして意識がないあお。

「…あお?」

どこから出てるかわからないけどあおの下にあるアスファルトには赤い色。

「お兄ちゃん!ごめんなさい!」
「私たちの目の前で…任されたのに、」

周りには野次馬と救急隊員の人たちと警察。

由香とリサちゃんの言葉も聞こえるけど頭に入らない。

「…あお?ねぇ、あお?」

よろよろとあおの方に近づいて、

膝をつくと、

「ちょっと近づかないでください!」

と、救急隊員の人に言われた気がする。

でもそんなの頭に入って来なくて、

あおに手を伸ばす。

触れた指先は少し冷たい気がして、

血の気がひく。

「あお?あお、返事して、あお?約束は?ねぇ、置いてかないで、一緒にメダル取るよね?あお?」

「ちょ、祐真さん、揺らしたらダメだって!祐真さん、落ち着いて!あおさん大丈夫だから!」

渉が俺を羽交い締めにして止めようとする。

触れてた手が離れる。

「渉、離せ!あお!」

暴れる俺を必死に止めようとする渉。