『うちにもぜひ彼女が欲しいよ。負ける気はないけど、彼女がいる君たちは気味悪いし、無敵感?が漂ってるんだよね。』

うんうん、わかるわかる。

渉も隣で頷く。

『もし、日本が次のオリンピック男女ともにメダルを取ったら1番争奪戦になるのは間違いなく彼女だね。なんなら、オリンピック前に僕のチームに来て欲しいけど』

「あげるわけないじゃん。あおには俺がいるんだから。」

ニヤリと笑いながら牽制すると、

チームメイトは肩をすくめて困ったように笑う。

渉の方をむいて、

『君も予想外だったよ、祐真も、ゆっくりしてられないね』

というと、

渉は当然!と言った顔で、

「あおさんの一番の教え子だから!祐真さんでさえ軽々超えていくつもりです!」

と言い放つ。

少しイラッとしたからデコピンをする。

『へぇ、彼もアオイがねぇ…ますます面白い』

いつのまにか名前を覚えて呼んでるからよほど気に入ったんだろう。

まぁ、来年楽しみにしてるよ、と手を上げて去っていったチームメイトに、

渉は、

「なんかいい人そう!」

といってニコニコしながら試合に視線を戻す。

いい人、だけど、食えない人だよ。

この期間、ちゃんとあおのそばにいよう。

絶対あいつ口説きにくるはず。

そう思いつつ、自分も試合に意識を向ける。

…ほんと輝いてるなぁ。

これから何人の人を魅了するんだろう。

きっと数えきれないほどの人があおに魅了されるんだろうな。

…負けないし、

そのあおを1番虜にするのは俺だけど。