コンコンとドアをノックすると、

いつも通りのあおが出てくる。

「あれ、リサと由香ちゃんは?どうしました?」

すっごくいつも通り…だなあ

「いや、今日楽しかったのかなって聞こうかと…」

「あぁ!楽しかったですよ!」

代表の合宿で男女同じとこで泊まったりするようになってから、

暗黙の了解で、

男女2人きりで部屋に入らないようにと注意してる。

どこで悪意のある記者がいるか分からないから。

だから今も廊下で話してるわけだけど…

「なんか困ったことあったらいつでも言ってよ?」

あおは少し眉毛を下げて、

「今日のこと聞いて心配してくれたんですか?…いつものことなので大丈夫ですよ!気にしてる場合じゃないし!」

ムキっと腕を曲げてポーズを決めながらいう。

あおの大丈夫は大丈夫じゃないんだよなぁ。

でも、俺のやるべきことはハッキリしてるから。

「まずはワールドカップ 、だね。」

「もちろん!」

にこりと笑ったあおの頬に手を当てる。

「頑張るし、頑張ろう、だけど、無理だけはしないで。」

あおは、少し困ったように笑って、

「善処します。」

と答える。

一緒に頑張ろうね、あお。

一人で突っ走らないでね。