「ちょっと失礼!」
いきなりロビーで話してた俺と渉と健さんの前に由香とリサちゃんが現れる。
「おかえり。ご飯美味しかった?莉緒は?」
健さんの声に2人は、
興奮した様子で、
「美味しかったけど、それどころじゃなかったです!腹立つー!!!」
「莉緒は、いつか、とんでもない怪我を負いそうで怖いです…」
と答えを返す。
3人の目つきが変わって、
「何かあったんすか?」
渉の質問に2人が今日のことを話してくれる。
…なんでもう3年もあおはずっと頑張り続けてるのに、
なんでそんなにあおを傷つけるの。
「健さん、俺、あおのとこ行っていいですか。任せて、いいですか。」
「ん、頼んだ。こっちも対策練っておく。」
その言葉を聞いてすぐに足早にあおの部屋まで向かう。
きっと泣いてない。
あおが初めて弱さを見せてくれたあの日以来あおは一度も悔しいとか、苦しいとか、そういう涙は流してない。
今もあの時の原因を作ったトレーナーはたまに見張りなのかなんなのか合宿をのぞいたりしてるけど、
あおが気にしないようにしてるのは気づいてた。
あおは、どこでも心を休める場所がない。
練習でも見張られ、
プライベートでも見張られ。
…もうぼろぼろになるくらい頑張ってるのに。
まだこれ以上彼女に傷を増やすの?
…許せない。