「2人ともありがとう…でも、怪我して欲しくないし、私は大丈夫だから無視していいからね?」
そういうと2人は悔しそうに、
文句を言いつつ、納得してくれる。
下手に揉めて2人が怪我でもしたら、
その方が怖い。
私は…気にならないわけではもちろんないけど、
でも、
約束したから、
頑張るって決めたから平気。
あと少しで目的地ってとこでどんと衝撃が身体に走って前のめりになる。
「莉緒!」
「莉緒さん!」
「大丈夫。すみません」
振り返って、ぶつかった相手に謝るけど、返ってきたのは刺すような視線で、
あぁ、と理解する。
「…目障り。消えて」
この子が言ってるのは、何も今の話じゃない。
リサがカメラを構えようとするから、慌てて、手でカメラのレンズ部分を覆う。
「ちょっと莉緒!」
「…大丈夫だから。ね?」
「…兄のファンの方なら私を知らないわけないですよね?渉くんのファンの方?どっちにせよ、…もご」
「ちょっと、由香ちゃんも!いいから!」
由香ちゃんの口も慌てて抑える。
「…偽善者、きも。」
女の子はそれだけ言って逃げて行く。
追いかけようとする2人をなんとか引きずってその場の人たちに軽く謝罪をして、
ようやく目的地につく。