なんということでしょう!

私は大興奮でタブレットとノートを両手に練習見学をさせてもらう。

けんくん忘れ物してくれてありがとう!

体育館の隅でタブレットとノートを広げて座って書き込む私の横に、

スパイク練が終わったけんくんが近づいてくる。

「莉緒楽しい?」

「大大大興奮!ありがとうけんくん!」

「学校いつから?」

脈絡もなくそう言われて、

メモを取る手を止めずに、

「4月10日!」

今日はまだ3月半ば。

「合宿、この県でやるの4月の5日までだけど…参加する?」

その言葉にメモを取るために右手に握っていたペンを落とす。

今なんて。

「え。」

「お前に俺の食事メニューに自主練メニュー任せてるだろ?無償でやらせてるし、お礼兼宣伝だよ。」

いやいや、それは好きでやってるから別にお金欲しいとか見返りが欲しいとかないんだけど…

というか宣伝?

「宣伝?」

「うちの妹すげぇだろ。オリンピックでメダル取るには必要だって、宣伝。」

なんの冗談?と言おうとけんくんの顔を見て固まる。

「…本気?」

「本気じゃねぇとアスリートが1番重要な食とトレーニングの管理を妹だからって任せないだろ。」

え、本気?

心の中でもう一度確認してしまう。