撮影がまた順調に進んでるだろう中、
スタジオを出た自動販売機のそばのスペースで、
コーヒーを片手に分析を進める。
今はこれがいちばんの優先。
「…あの。」
今の自分に甘えず、
常に前を見ないと。
「あの!」
「うぁ!」
視界に整った人の顔が入り込んで、
驚いて思わず変な声を出す。
「あ、コーヒー、溢れちゃう。」
驚きで落としそうになって変な向きを向いてたコーヒーを正しい位置に直しながらその人がいう。
え、なんで?
今目の前にいるのは、おそらく、というか、紛れもなく、
人気俳優のトオルだと思う。
すんごいイケメンだなぁ。
「驚かせた?ごめんね。」
「あ、いえ、…えっと、」
なんて言えばいい?
ていうか、なんで話しかけられたの?
「僕、一応俳優やらせてもらってますトオルです。こんばんは。」
一応というか今をときめく一流俳優さんじゃん。
え?その人が何?
「あ、えっと蒼井莉緒です。」
「もちろん知ってます、大ファンなんで!」
にっこり笑うイケメンさんに、
戸惑う。