「ちょっとー、渉?お前あおを独占しすぎ。」
聞こえた声と同時に頭に重み。
それにドキリと心臓が音を立てる。
「祐真さんがあおさん以外の女に愛想振り向いてる間に俺はあおさんとバレー研究してるんですー」
「なっ!このクソガキ」
おそらく私の頭に顎を乗せてただろう祐真さんが、
渉のほっぺたをつねって反撃する。
「あおさん、助けてっ」
「…やめてください、ほら休憩終わりますよ?」
けんくんが渉たちを手招きしてて、
そちらを指差すと、
祐真さんが不服そうに、
「全然あおとここ最近話せてないんだけど?」
と言う。
たしかにワールドカップ前で合宿が始まるからと、
向こうから日本に帰って以来忙しくて、
ほとんど話せてない。
「…仕方ない、ですよ。ほら行ってください。」
背中を押すと、
隣にいた渉が、
「あおさん、明日の練習のメニュー考えててくださいね!」
と笑って離れてく。
「…俺より渉ばっか可愛がりすぎじゃない?俺拗ねるよ。」
祐真さんが振り返って、
拗ねた顔していう。
…ずるい、けど、流されちゃダメ。
「…祐真さん、いってらっしゃい。」
背中をもう一度強めに押して、
自分もそのあと振り返って歩き出す。
少し休憩をしよう。