…こわ。この子何者。

独り言をぶつぶつと言いながら作業を進める彼女に釘付けになっていると、

ひと段落したのか、彼女が伸びをする。

そこでようやく目が合う。

「わっ!あ、ここ、体育館だ!帰らないと!」

俺に驚いて状況を把握したのか、

帰る準備を始める彼女。

「俺、宮本祐真。」

名前を名乗るとキョトンとする彼女。

「え、知ってます…??」

「名前は?」

頭に沢山のクエスチョンマークを浮かべているのが目に見えてわかる。

彼女は戸惑いながら、

「蒼井莉緒です。」

と答えてくれる。

「なんて友達には呼ばれるの?」

「えっと…まぁ莉緒が多いです…」

「じゃあ、『あお』って呼びたい。」

彼女は本当に戸惑ってるみたいで、

「え、あ、はい。お好きにどうぞ…」

と返される。

「あお、バレー好き?」

「大好きです。」

「俺のこと好き?」

「大好きですね、最高です。」

曇りのない目。

ほんっと面白い。

いつのまにか昼食を終えたみんなが俺らの様子を見ている。

「もっと俺のこと知りたい?」

「え!知りたいです!」

目をキラキラさせて俺をみる彼女に、

俺は頬が緩む。

「練習、最後まで見てきなよ。」

俺の言葉に彼女は健さんをみる。

健さんはニヤリと笑って頷く。

健さんもしかして…