綺麗な弧を描いて、完璧なレシーブを見せた彼女。

…試合中でないとはいえ、

そこまで手も抜いてない…のに。

しかもレシーバーは向こうのコートに彼女だけ。

「なんで…」

その言葉に彼女は楽しそうに笑って、

「宮本選手の映像はもう数え切れないほど分析しましたから!」

と答える。

…見つけた、俺の運命の人。

直感でそう感じた。

「でもやっぱり女子と男子は違いますよね〜手が痛いです!」

笑いながらコートにお辞儀をしてコートから離れた彼女は、

背負ってきていたリュックから何やらノートを取り出してきて熱心に書き込み始める。

「あの、「あー待て、祐真。あーなったらしばらく声かけても届かないから。」」

話しかけようとしたら、

健さんに止められる。

「えーっと、よいしょっと…じゃあ飯食ったら午後の部再開で!」

健さんが熱心にノートに書き込む彼女を、

危なくないところまで引きずって体育館の隅の方に寄せる。

彼女はそれに抵抗もせず、持ってるノートと、タブレット端末に集中しているみたい。

…面白い。

俺は急いでご飯を食べてすぐに体育館に戻る。

まだ熱心にノートに向かう彼女の邪魔をしないように横に座る。

横から覗き込むとノートにビッシリと書かれた全日本の選手それぞれのデータ。

よくわからない数字と、よくわからない言語もありつつ、

タブレットに何かを打ち込むと、

それぞれの動きの特徴が完璧に再現されたアニメーション。