「…すみません、私は兄や祐真さん、渉、皆さんと世界一を取るって決めてるので…。声をかけていただいてすごく嬉しいです、でも…」

「あなた自身がバレーしたくない?」

そう言われてまた動きを止めてしまう。

バレーはやるのもみるのも大好き。

でも…

どうしていいか分からなくて、

なにが答えか分からなくて、

ただけんくんたちと世界一を取りたいのはハッキリしてて。

「バレーは大好きです。でも、私は兄たちと世界一を取りたいので。」

そう返せば、

「じゃあ、言い方を変える。私たちとも世界一をとらない?」

と返ってくる。

私たちとも?

頭が容量を超えてショートする。

けんくんを見ても、

けんくんの真意が読み取れなくて。

…祐真さん。

視線は無意識に祐真さんを探してて、

交わる。

あ、だめだ、

分からないけど、なんでここでって感じだけど、

泣きそう…

溢れそうな涙を堪えようと上を向こうとすると、視界が真っ暗になる。