スマホと外人さんを交互に見た。
そうだ、勝手に写真を撮ったんだった。これはかなりヤバいかも。
外人さんは怒っているような感じで、さっきまで見開いていた瞳が、す~っと細くなっていく。
じーっと黙って私を見ている。イケメンが怒ると、すごい迫力だ。
止まっていた汗が、一気に噴き出てきた。
「ご、ごめんなさい! 画像はすぐに消します!」
慌てて大きく頭を下げて、スマホを操作してポケットに仕舞う。
これで許してくれるかな。
「あ? 画像?」
外人さんはそう言ったまま、少し首を傾げている。
そのまましばらく無言だったけれど、その視線が私の手の辺りにおちた。
「それは、何だ?」
「これ? 竹刀だよ。知らない? 剣道っていう武道に使うの。こうやって振るんだよ。サムライって知らない?」
外人さんって、日本の武道が好きな人が多い筈。何回か素振りを見せると、じっと見ていた外人さんの口元が少し緩んだように見えた。
「へえ、強いのか」
「うん。これでも県で二位になったことあるんだよ。中学の時のことだけど」
「県? ほう、それはいいな」
「でしょ?」


