俺様天使の助手になりまして


 だんだん気分が良くなってきた。

 広い花畑の中に天使が二人飛んでいるのが見える。あの子たちの羽、綿毛みたいにふわふわして綺麗。

 それに、どこかのアクマ天使と全然違って、にこにこしていて超ラブリーだ。やっぱり天使はこうでないといけない。

 綺麗な外人の女の子が花冠を作っている。もしかしたら、出来上がったら私にくれるつもりかな。嬉しいな。

 それにしても、暖かくて、気持ち良くて、なんて素敵な場所なんだろう。

 天国って、こんな感じなのかな。

「ぉ……ぉ……ぃ」

 どこからともなく声が聞こえてくる。

 男性の声だ。

 これ、知っているような気がする。

 そうだ。あんまり聞きたくないような感じのもの。

 嫌だな、呼ばれている。ここから離れたくないのに。

 あ、ほんわか綺麗な世界がゆらゆら揺れて……どんどん遠くなっていく。

 どうして私を置いていっちゃうの? 

 やだよ。待って、もうちょっとだけ。


「おい! こら、目ぇ覚ませってんだろうが!」

「はいぃぃっ!? すいません、先生!」

 ドキーッとしてガバッと起き上がったら、額が何かにぶつかって、目の中に火花が散った。