ぼっ、ぶうぅぅん……と、また変な音がする。

 何だか嫌な予感がしてきた。

「──って、やっぱりいぃ? 飛んでる! きゃああぁぁっ」

「うるせぇなぁ」

 騒ぎまくる私の体は、空の上でひょいっと抱え直された。ふわっと体が浮いて、へその辺りがきゅうっと縮んだ。その拍子に通学鞄が肩からずれる。

「ちょ、やっ、落とすっ、鞄が!」

 慌ててバタバタと手を動かし、落ちそうになった通学鞄をしっかり捕まえた。

 はあぁドキドキした。もう、前もって言ってよ。何もかもが、いきなりなんだから。

 ふと地面の方に目を向けると、当たり前のことだが、たくさんの人がいた。中には空を見上げている人もいる。

「え、ちょ、ヤバッ、見えるっ、下っ。やだっ。下が見える!」

「うるせぇなぁ。空を飛んでるんだ。地上が見えるのは当然だろうが。暴れんな。騒ぐな。いい加減落とすぞ」

「ち、ちがーう!下じゃない!」 

「あ? 下って言っただろうが」

「違うのっ、私の格好っ、制服でスカート!」

 このままじゃ足が丸出しになって、パンツが見えちゃう。パタパタと風に煽られるスカートを押さえつつ、通学鞄を必死に持った。

 それに飛んでるところを見られていて、それは、構わないの??