自称部下は、もう攻撃をしないつもりか、見た目戦意はない。
それなら、もう関わりを絶つ!
ピシャリと窓を閉め、しっかりカギをかける。
丸腰の人に刃物を向けてくるなんて、人間だったら通報ものだ。一一〇番出来ないのが非常に残念だよ。
「帰って。イマドキ女子高生は、暇じゃないの。忙しいの!」
学校の課題がたくさんあるんだから。塾のだってあるんだから。今からやらなきゃいけないんだから。
ん? 前にもこんなことがあった気がする。
そう、こんな風に矢を向けられて……。
それから……?
ああ、じれったい。思い出せそうで、はっきりしない。モヤモヤモヤモヤする。
「開けてください。開けてください」
自称部下が、枕を抱えたまま、コンコンコンコン窓を叩いてくる。
煩いなっ。
気が散るじゃない。枕を返したいの? それとも、部下だって信じたかどうかが知りたいの?
「天使だと信じる。枕はあげるから。もう帰ってよ。要らないなら、そこに置いといて」
『朱里ー。何をドタバタしてるの。煩いわよー』
階段下から声がする。大変だ、ママが来ちゃう。
「何でもない、大丈夫だよ。変な虫がいたから、びっくりしたの。騒いでごめんなさい!」


