「女神は美しかっただろう? ここの女神は、神の一番の寵妃さ。女神の中でも実力は一番上。見かけはああでも、怒ると大変恐ろしいお方だ。天使の憧れの的でもある。だけど僕としては、お譲さんの方が萌えるなあ。初心だし、怒っても可愛いし」

「神の寵妃、なの?」

 私の体に伸ばしてきたオタク天使の手を、アクマ天使がビシッと叩いてるのが横目に入る。

 けどそんなことより、新事実の方に夢中になる。だって、心がすっきり軽くなったのだ。

「なぁんだ。そっかぁ! 神様のお妃さまなんだ」

 しかも、一番のお気に入りだなんて。

 胸がふわふわしている。ちびっこと別れた寂しさとか、モヤモヤした気持ちもぜ~んぶ吹っ飛んじゃった。

 我ながら単純だ。どうしてこんなにホッとしてるんだろう。

 何でこんなに嬉しいんだろう。ただ、アクマ天使の相手が女神じゃないって、分かっただけなのに。

 アクマ天使はオタク天使と向かい合って何か話をしている。でも、そこにいるべき筈のもう一人の姿がない。

「あれ? ね、サナダさんは?」

「ああ、サナダなら地上に置いてきたよ。お譲さんと違って、一人でも大丈夫だからね」