『新藤さん。急いで帰る支度をしなさい。お父さんが病院に運ばれたそうです』
真っ青な顔色の教頭先生が教室に飛び込むように入ってきて、急いでランドセルに教科書を詰め込んだ。
そのまま教頭先生の車で病院に行って、私に手渡されたのは、血だらけのママのカバンだった。
一緒にあったデパートの包装紙も紙バッグも真っ赤な血に染まっていた。何が起こって、どうしてそうなったのか分からなくて、ただ体が震えた。
『パパ、パパ、頑張って! パパ、頑張るのよ!!』
その時病院の治療室の方から聞こえてきた、千切れんばかりに叫ぶママの声が未だに耳に残っている。
私がパパに会えたのは、もう息をしていない時だった。
先生や看護師さん達が静かに頭を下げてくれて、でも死んじゃったのが信じられなくて、ただベッドに横たわってるパパの顔を見つめていた。頭が真っ白だった。
「チビどもは無事だったのか」
「うん。ちびっこたちを庇ったママさんが、少し怪我をしたらしいけど、みんな無事」


