俺様天使の助手になりまして


「デパートにね、ちっちゃい子が遊べるスペースがあるんだ。スポンジのマットが一面に敷いてあって、ボールプールがあって、裸足で自由に遊べるの。
 そこにね、むき出しのナイフを持った男の人がスタスタ入って行ったんだって。ちっちゃい子の方に向かってまっすぐに。
 それを見たパパは『アイツの目、危ない。お前は一一○番しろ!』ってママに言い残して、手近の売り場にあった傘を持って追いかけていったんだって」

「傘は、竹刀の代わりか」

「うん。パパなら、傘でも十分撃退できるもん。
 だけどね、スポンジみたいなマットはすっごいふかふかでしょ。足を取られてすごく動きづらくて、上手く攻撃できなかったらしいの。
 それで、犯人ともみ合って、倒れて、お腹にナイフが刺さっちゃった。でもそれを利用して、パパは犯人の腕を捕まえて離さなかったんだって。
 そのうち、周りにいた人たちがみんなでよってたかって犯人を押さえて。
 ママは必死で止血して、救急車が来るまで自分の知識をフル稼働して一生懸命応急処置したんだって。だけど」

あの日、私は授業中だった。国語だったことを覚えている。