急に後ろから両肩を掴まれて、変な声が出た。
そのままぐいっと引き寄せられて、背中が柔らかめな壁に当たる。後ろを見上げると、アクマ天使は真っ直ぐに若先生を見ていた。
そして私を脇に退け、一歩前に出て綺麗なお辞儀をする。
「はじめまして。ハルカワリクトです。シンドウアカリさんとは、お付き合いさせていただいてます」
真面目な顔で丁寧に挨拶している。
というか、交際宣言している!
信じられないことに口をパクパク開け閉めしていると、若先生の顔がますます綻んだ。
「これはご丁寧に。そこの店をやってる藤松です。朱里のことは、こーんな小さい時から知ってます。どうぞよろしく」
若先生の手が、足の付け根あたりまで下がる。こんなにチビだったんだと言うように。
ここに通って、初めてつけてもらった防具は、すごく重くて動きにくかったのを覚えている。防具から外れたところを打たれて、痛くて大泣きしたこともあった。そのたびに『痛いの、飛んでけー、飛んでけー』って、若先生に撫でてもらったっけ。
「ところで、今日はどうしたんだ? 店に用事か? また剣道やる気になったか」


