あのときの一瞬しかRUIさんと直接話していないし、私には(にわか)には信じられない。

だけど目の前に座る神奈さんは、至って真面目に真剣に困っているようだった。


「だから、俺たちのライブとか練習のとき……仁那ちゃん時間あるとき一緒に来てくれない?その、今彼氏とかいないんならRUIの側にたまにでいいからいてもらえないかなって相談」

「私が……RUIさんの?」

「その代わり、俺たちの音楽気に入ってくれたならいつでも聴いてもらっていいし、チケットもとるよ」

「え!あ、あの!ギターの練習付き合ってもらえるなら私ぜんぜんいいですよ!」

「は、え?仁那ちゃんギターやるの?俺で良ければそんなのお安い御用だよ。むしろこっちが変なお願いしてるんだし、そんなんでいいのか?」

「やったー!いいです!やるやるやる!」


こうして突然、音楽の先生となぜか私を気に入っているらしい超絶美形なふしだら男を手に入れることになった。

高校一年生の夏休み前。