「その結果、RUI本人は大して覚えてないくせにちゃんとしないから、女性同士でいざこざがあったりバンド活動に支障がでて困ってんだよ……」

「想像どおりのだらしなさですねー」

「だろ?もう俺たちじゃ手に負えないってなってたところに、3ヵ月前に1週間だけRUIが馬鹿みたいに調子良いときがあってさ」

「へえ」


1週間RUIさんの調子がよかったときには作曲もかなり良いものが出来たり、今までにないくらいいいパフォーマンスで演奏出来たらしい。



「その時っていうのが仁那ちゃんと会ったあの日からなんだよ」

「えっ、私?でも私なにもしてない」


突然話の中に自分が登場して、よく理解出来ない頭であのときのライブハウスでのことを思い返す。

先に受け取ったアイスコーヒーを羨ましがられて、なぜかキス……。


「あ!え!?そういえば私あのときRUIさんにキキキ……キスされたんだ」


言いながらどんどん恥ずかしくなって、声のボリュームが後半はほとんど蚊のなくようなほど小さくなった。

「えっ、そうなの?RUIにされたの?」

「あぁ〜そういえばされましたぁ」

「仁那ちゃんそれ忘れてたの?今まで?」