「仁那ぁ」


RUIさんから神奈さんに視線を移したタイミングで、RUIさんの甘い声が私の名前を呼ぶ。

えぇ!?こんどはすごい堂々と本名呼んできた!何なの〜、もぅ!


すっかり困ってしまった私が再びRUIさんを視界に入れると、さっきの無表情とは違い、なにを思ったのか甘く笑ってみせたのだ。

とても満足そうなRUIさんはもう意味がわからなくて、私がこの場でいくら考えてもわかるはずもないので、
ここは一旦RUIさんのことは置いておいて、本来の目的に戻ることにする。



「あー、っと、Ninaです!よろしくお願いしますー」


藍とパパはRUIさんの言動に驚いて見ていたし、周りのお客さんもRUIさんに気づいた人たちはかなりざわめいていて、果たしてこんな新人が歌ってこの場を収めることができるのかどうか。