「ねえ、あなたRUIくんの何?彼女?」


騒がしいホールにひどく冷たい声が通る。


「……え?」

レストルームの近く、ステージやホールの中心からは影になっているそこにとても綺麗で高身長な女性が立っていた。


「なんでRUIくんと一緒に来てたの?……ライブや練習の前は会ってくれないのに……っ」


私はその人に見覚えがあった。

以前、RUIさんとホテルに入って行ったモデルのような女性……きっと、間違いない。

嫉妬と悲しさが浮かぶ表情で彼女はじっと私を見ていた。


「あの、ごめんなさい……、私は別に彼女じゃないです」


私は他人からの嫉妬や(ひが)みというような負の感情を向けられることが、とても苦手だ。

小学生のときも中学生のときもそれでいじめられた記憶があるから、途端に弱気になってしまう。


思わず謝った私に彼女は一瞬、カッと感情が昂ったようだったけどすぐに冷静さを取り戻した。

自分の感情をコントロール出来る大人の女性だ。