準備のためにashのメンバーが関係者入り口に入ってから、藍と2人でドリンクを取りに行く。


「私あんまり好きじゃないなー、RUIさんって」

やはり気に入っていない様子の藍に苦笑して、少し先を歩く藍の手をそっと握ると藍が困ったように振り返った。


「……仁那が嫌な思いをしないか、それだけが心配なんだよ」

「うん、わかってるよ藍の気持ち……でも中学生のときとは違うし、RUIさんに何も嫌なことはされてないよ」

「そうみたいだね、ギターの練習毎日楽しそうにしてるし」

「みんなに教えてもらってね、とっても楽しいんだよ!それに、ashの演奏は本当にすごいの、今日、藍も聞いたらきっと好きになるよ〜」

「はいはい、楽しみにしてるわ」


ドリンクカウンターで以前もいた男性に挨拶をして、アイスコーヒーを大きいグラスでサービスしてくれたのを貰ってホールで演奏を待つ。

ashの出番が近づいたので先にトイレに行こうと、藍から離れたタイミングで声をかけられた。