大事な大事な千花を助けなきゃいけないのに。 足が動かない。 事件の記憶が呼び起こされそうになるのを必死になって止めた。 「もし、昔みたいにパニック障害が発症しちゃったら、落ち着いて深呼吸すること。」 突然頭をよぎった春日先生の声。 そうだ、落ち着かないと。 深く深呼吸をして、歪んだ視界が落ち着くのを待った。 5歩でも10歩でも歩けば、隣の部屋の子のとこに行けるから。 歩け、歩け、歩け!早く!動いてよ! そう願っても、部屋から出たすぐのところでぼーっと立ち尽くすことしかできない。