「ほら、月。」
まだ時間はお昼のはずなのに、
月緋君が指をさした方向に本当に
三日月が浮かんでいた。
「本当だ!!まだお昼なのに、月が見える!」
すると、その会話を聞いたお姉さんが
「あー!!ラッキーですよ!!
たまーに、海から月が浮かんで見える時があるんですよー!!ロマンチックですよね!!」
「へぇー!」
「月ならお前が見てるのと俺が見てるの、そんな変わらないしな。」
「白色。だね?」
「おう。」
みんなにとっては、些細なことかも知れない。
月が浮かんでいるのだって、
太陽が光っているのだって、
海に魚が浮かんでいるのも。
だけど、色がない私にはこんなもの見たって、何も感動しないし、何が何だかわからなくなることだってある。
なのに、月緋君が説明してくれた所には
私の頭の中でしっかり色が付けられて、
まるで月緋君が色になってくれたみたいに、
本当は見えないのに、今私の前には
オレンジ色の太陽が光っている。
