4月。新しいクラスになりそろそろ部活も引退の時期に・・。そして、高校3年生と言えば世間一般で言う「受験」が間近になり勉強に必死になっている頃だ。もちろん、先生も生徒もこの一年間は勝負の時である。私「小山 みゆき」もその1人だ。



授業が終わってから、放課後はもっぱら三年間同じクラスの「岡元 さなえ」や3年の同じクラスになってから、共通の趣味で意気投合した「前田 やよい」と共に、勉強会と称した『恋バナ』に花を咲かせている。



「やよいはいいとして、さなえは最近どうなの!?誰か好きな人とかいないの?」「無理ムリ!!さなえは好きな人とかあんまり出来ないんだよねー。」
「そうなの、さなえ?」



さなえとやよいは中学からの親友でお互いの事は姉妹の様に思っているらしい。
さなえは引っ込み思案な子で顔を前髪で隠すような感じで、メガネをかけている。イメージ通りの口数の少ない子。
やよいは髪を染めており、巻き髪で美容が命である明るい性格の子だ。


「うんっ・・・・あんまり男の子得意じゃないから。あんまり喋らないし。」・・・


実は、このクラスになってから気になっている男子が1人。その人の名前は「吉永 あかね」。実はやよいの幼馴染らしい。
つまり・・さなえもやよいも中学の頃からあかねの事を多少は知っていたのである。
あかねの事は気になるといっても、「女の子みたいな名前だなー!!」という軽い思いがあるだけで特別な恋愛感情にまで発展することはなかった。



「みゆきはあかねが好きなんだよねー!!そんなに好きなら告白しちゃいなよ~~」

でた・・ちょっと気になるって言っただけなのに勝手に盛り上がっちゃって・・・。
お菓子を机の上いっぱいにひろげてその日もいつもと同じ様に放課後を過ごしていた。

いつの間にか教室も夕暮れ時で気がつけば7時前である。

「あ、ヤッバ!!!ゆうき君と一緒に帰る約束してたんだ。」
「良いなぁ・・さなえは。彼氏がいて!!ブーーーッ」「みゆき、さなえは常に彼氏いるから・・・」

「ゆうき」とは、隣のクラスのさなえの彼氏である。ゆうき君とあかねは同じサッカー部の部員である。


ガラガラッ....