お前、俺を誰だと思ってんだ

【聖良 side】


「聖良とありえは同一人物?」




「そうだけど…」




「じゃあお前蓮のこと助けてるぞ」




ん、蓮のこと助けてるぞ…?




「…は!?」




「私が!?」




「たしかに蓮って名前すっごい聞き覚えあっ
 たしなんか懐かしい感覚はした」





「じゃあそれ蓮だよ、東堂蓮」




「蓮、荒れてたんだけど急に静かになって、
 喧嘩とかしないって言い始めたんだよ」




「どうしたんだ?なにがあったんだ?って
 聞いたらなにも言ってくれなかったけど
 寝言で‘‘ありえ’’って言ってて起きてから
 ありえって誰?って聞いたら俺を助けて
 くれた女って教えてくれたんだよ」




「蓮…私が助けた…?」





なんとなくだけど記憶にある




「私、人の名前とかもなんだけど喧嘩した人
 とか助けた人も詳しく話してもらわないと
 思い出せないんだよね」




「ただ記憶力がないだけなんだけど」




「これは覚えてるんだよね」




「中学3年の時かな…」




「仕事帰りにすごい音が響いてて」




「ちょっとのぞいてみたの」




「そしたら男の子1人相手に何人もいて」




「話の内容聞いちゃってなぜかわからない
 けどこの子は助けてあげなきゃって思った
 気がする…?」




「結局蓮と話して辛かった思いとか全部
 吐き出したからか寝ちゃって」




「それで蓮のスマホで連絡先の1番上にいた
 人に電話し、て…」




「ん?聖良?」




「思い出した…」




「なにを?」




「このことハッキリ思い出したんだけど」




「蓮が寝ちゃったから友達に電話したんだけ
 どね?」




「うん」




「その友達、奏だ…」




「え?」




「奏って柏木?」




「うん」




「最近奏に会って、なんかこの声聞いたこと
 あるなって思ったんだよね」




「そういうこと、か…」




「すげぇな…」




「はる」




「ん?」




「蓮と奏には言わないでね?」




「お、おう」




「なにその反応もう言っちゃったとか!?」




「いやそういうことじゃないけど…」




「じゃあなによ」




「えっ、あ、いや…?」




「ぶふっ」




「は?なに笑ってんの李梨沙」




「ほんとに鈍感だなぁって」




「は?」




「やっぱこいつ鈍感なのか」




「まぁよかった」




「うん、よかったね」




「でも…」




「あぁ、俺に勝ち目はねぇだろ?」




「勝ち目がないわけじゃないけど…」




「わかってるよ」




「ほんとこの子鈍感だから変なことするかも
 しれないけど許してあげてね」




「もちろん」




え、私だけ話についていけてないんだけど




「りりさ…?」




「聖良はいいの」




「なにそれ気になるじゃん」




「いいの?雷の話だよ?」




「なっ…」




「なんでだよ、別になんともねぇし…」




なんでこいつら雷の話なんてしてんだよ




「ふーん、いったな?」




「もう私雷鳴っても電話してあげないから」




「え、いや、それは…」




「ん?なによ」




ダメだ…李梨沙には勝てない




「電話だけはしてほ、しい…」




「ぶっ」




「はぁ!?なんで笑うんだよお前!」




「雷なんか怖くねぇ…けど電話くらいしたい
 っつーの」




「ねぇ、はる今の見た?」




「くっそ可愛かった…」




「だよね?」




「聖良たまにこゆとこあるの可愛いよねぇ」




「それはそうだけどお前…」




「聖良に対してはドSだな」




「ぜーんぜん?」




「ほら!聖良ははやく寝て蓮にも怪しまれ
 ないように体治しなさい!」




「怪しまれたくないから寝る」




「うん、よろしい」




「私は弟のご飯作らなきゃいけないから帰る
 けどなんかあったらすぐ看護師さん呼ばな
 いとダメだからね」




「私もすぐにかけつけるから」




「ん…」




「じゃーね」




「またな、聖良」




「ありがと…またね」




「って、3人で夢中になって話しちゃって
 ごめんなさい!」




「いいんだいいんだ」




「そんなことより」




「改めてありえ」




「本当にありがとう」




「ありがとう、ありえちゃん」




「いいんですよ」




「これが佐々木さんにもらった私の“仕事”
 ですから」




「やっぱ頼もしいな」




「でも、ほんとうにすまない」




「なにがですか?」




「ありえの怪我のことだよ」




「え、なんで佐々木さんが謝るんですか!」




「これは私のミスです!」




「とは言え高校生に怪我をさせてしまった」




「ほんとうにすまない」




「佐々木さん…」




「しばらく聖良は休みだ」




「え…」




「この怪我なら…!」




「ありえ」




「お前の本当の仕事は今を楽しんで勉強して
 大人に近づくことだ」




「…」




「それにそろそろ文化祭があるんだろう?」




「李梨沙ちゃんに聞いたよ」




「せっかくの文化祭だ」




「まだ来年があるが楽しんでおいで」




「…わかりました」




「ほんとうに緊急の時は行かせてください」




「これも勉強になりました」




「次は油断なんてしません」




「私は人を守りたいんです」




「1人でも多くの人に幸せになってほしい」




「傷つく人を減らしたいんです」




「それでありえが傷ついてしまったら意味は
 ないんだぞ」




「私の傷は心の傷ではありません」




「すぐ治りますし、そこは十分に気をつける
 つもりです」




「そうか」




「じゃあありえの力を借りたくなったら呼ぶ
 ことにするよ」




「ありがとうございます!」




「俺らは家に帰るが大丈夫か?」




「はい!大丈夫ですよ!」




「じゃあ、お大事にな」




「ありえちゃんありがとうお大事に!」




「真梨さん…ありがとう!」




ガラガラ




パタン




「ふぅ〜」




こんな傷大丈夫なのになぁ…




なんなら今動きたいし




いや、李梨沙に殺される




明日の昼には退院できると思うし、さっさと
寝てはやく治すとするか…