お前、俺を誰だと思ってんだ



バンッ




「誰だ!」




アキビルの中にいたのは40代くらいの
おじさんと中学1年生の女の子




口を塞がれて涙目でこっちをみてる




こんな可愛い女の子になんてことしてくれんの




「その子を返してもらうね」




「なに言ってんだ!葵(あおい)は俺のだぞ
 渡さないからな!」




葵とは誘拐された中学1年生の女の子のこと




「はぁ…」




「女の子の前だから穏便にすませたいんだけどなぁ〜」




「…来ないの?」




「お、おりゃぁぁぁ!!」




正面から何も考えずに突っ込んでくる




「ざっこ」




殴りを入れてからの蹴り




すぐ終わった




急いで女の子の縛られている手の紐を取り
口に巻かれたタオルも外した




その瞬間葵ちゃんに抱きしめられた




「あ、ありがとう、ございます」




声も手も足も震えてる




怖かっただろうに…




「うん」




「怖かったよね、もう大丈夫だからね」




思いっきり抱きしめてあげた




すぐに二丁目の警察に電話をした




警察も葵ちゃんの親もすぐきてくれて男は
逮捕された




私は手助けをしてもあんまり目立ちたちくは
ないからいつもすぐに帰る




終わったし帰ろうと思った時




「あ、あの!」




「ありがとうございます」




「何度言っても感謝しきれません」




「ほんとにありがとうございます」




「いいえ、無事で良かったですね」




すっごい、感謝されてる…




「なにか…ほしいもの、とか…」




「なんというかお礼をしたいんですが」




「大丈夫ですよ」




「いやでも…」




「私はなにより葵ちゃんが無事で安心して
 います」




「逆にこんなに時間がたってしまって
 申し訳ございませんでした」




自分の娘が急にいなくなったら心配するよね




数時間いないなら遊んでるのかな、なんて
思うのかもしれないけど何日もいなかったら…




「な、なにを!」




「…よくニュースで1ヶ月も帰ってこないってみます。葵を3日ほどで見つけてくださってほんとにありがとうございます」




「いいんです」




「こんなにもありがとうって感謝してもらえるだけで私は嬉しいです」




「私はもう戻りますね」




「では」




「え、あ、ありがとうございました!」
「あ、ありがとうございました!!」




ペコっとお辞儀をして私は急いで帰った
(ちゃんとおつかいもしたよ)




早く帰らないとこのアキビルから私が出てきたのをみたお喋りな人になにを聞かれるか…




「ただいまでーす」




今の時刻は6時




「おっ!おかえり!」




「買ってきましたよ」




「おぉ!ありがとう!」




「さすがだね!」




「はい、これ今回の給料」




「ありがとうございます」




「いや〜やっぱりさすがだね」




「え?」




「葵さんのお母さんから電話がきて何回も
 ありがとうって言ってたよ」




「えぇ、先ほども何回も言ってくださった
 のにお電話まで?」




「…嬉しいですね」




「これからも自信持ってよろしくね」




「ありえちゃん」




「はい!もちろんです」




「では!」




「気を付けてねー!」






「ふぅ〜」




疲れたなぁ〜




でもこの仕事やってよかった




「…聖良?」




名前を呼ばれて振り返ると




なんかみたことあるような…




「あ…!東堂蓮!」




「なんでフルネームなんだよ」




「いや、なんとなく」




「でも私にしてはよく名前覚えてたな…」




「なに、お前名前覚えんの苦手なの?」




「うん、だからすごいなって」




「ふはっ、自分で言うかよ」




「いやだってすごいでしょ!」




「…って私になにか?」




「いや?なんか聖良っぽかったから声かけた
 だけ」




「あ、なるほど」




「どっか行くの?」




「えっ?あ、今帰り」




「ふーん」




「こんな時間に?」




「いやまだ6時だよ?」




「なんの帰り?」




「え、あ、えっと」




「散歩!」




「散歩…?」




「たまに歩きたくなるんだよね〜」




バレるバレる




隠し通せ!!




「へー」




「って、東堂蓮はなにしてたの?」




「俺?俺は学校からの帰り」




「いや逆になにしてんのこんな時間まで」




なんとなくだけど部活入ってるようには
みえない(失礼)




「なんもしてねぇ」




「屋上で寝てた」




「あ、そうなんですか」





「てか、なんでフルネームで呼ぶんだよ」




「とくに理由はないけど…」




「…じゃあ、東堂くん」




「…蓮」




「え?」




「蓮がいい」




「ん…?じゃ、じゃあ蓮くん」




「なんで君付けなの」




「同い年じゃないの?」




「何年生?」




「2年生」




「同い年じゃん」





「ほら、早く呼んで」




え、呼びなれてないんだけど…




私仲いい男子とかいないし




「早く」




「れ、蓮…」




「よくできました」




「わっ」




急に蓮が頭を撫でてきた




人に頭を撫でられることなんてないから
変な感じ




「じゃ、またな」




「う、うん」




なんだろう…この感じ…




てか、蓮って近くで見るとイケメンなんだな




ってなに考えてんの!




早く帰ってご飯作ろ