「……ふう」 ベンチに腰を下ろすと、サワサワと心地よい風が流れる。 この公園は、私の通う高校と家のちょうど真ん中あたりにあり、平日の夕方にしてはあまり人もいなく、私の絶好の癒しスポットかつ練習場所となっていた。 「よし、やるか」 頬を軽く叩き、気合を入れると、ガチャン、と頑丈に閉まっているケースからオーボエを取り出して準備をする。