春の緑に青が混ざると【完】




あれから、何度か上着を持って公園に行ったが、青志さんに会えることはなかった。


社会人なのか、学生なのか、素性も分からない彼のことが気にかかる。


あの日、掛けてくれた上着から感じたほのかな香水の香りは私をドキッとさせた。


ただ、物を返せていないから気になるだけだと自分に言い聞かせる。


別に、青志さんの笑顔とかちょっとした仕草とか、思い浮かばないわけでもない。