──…そのまま多賀谷くんに送って貰って帰って来た家。
部屋に入った瞬間、ソウくんが私を見る。
「…ねえ美恋、さっきまで何してたの?」
「え?」
ドキリと嫌な心臓の音が鳴り響いた。
…まさか。バレてるわけ、ないよね。
「何もしてないよ。それよりソウくんは何してたの?」
笑顔で取り繕うと、ソウくんはそっか、とだけ返して、いつも通り微笑んでくれる。
その日はその一瞬の会話で済んだ、んだけど──…。
「…最近美恋、変だよ」
多賀谷くんに告白されてから、数日。
今日も多賀谷くんに送って貰ってしまった私は、部屋に入った瞬間にソウくんに問い詰められていた。
「美恋は俺のカノジョだよね?美恋は俺のこと、愛してるんだろ?」
ふわりと茶色がかった猫っ毛が揺れる。
──…私の理想は、こんな風に柔らかい茶色がかった髪に、アーモンドみたいな茶色の瞳の男の子だったはずだ。
………なのに今は、どうしてもその容姿に心がときめかない。
多賀谷くんの黒い瞳と短い黒い髪が、脳裏にちらついて。
「……愛してる、よ」
そっとそっと嘘をつくと、ソウくんは一瞬、アンドロイドのように(アンドロイドなんだけど)表情を消した。

