「ねえ聞いて美恋(ミコ)!」


教室に入ってすぐ、おはようも言う前に駆け寄ってきた結愛(ユウア)ちゃんに、私は笑顔で首を傾げる。


「おはよう結愛ちゃん、どうしたの?」

「おはよ!あのね、こっち来て!」


相変わらず慌ただしい彼女に腕を引かれ、窓際の1番後ろの私の席へと移動。

途中すれ違った女の子何人かに挨拶をして、私は自分の席に腰掛けた。

結愛ちゃんがその前の席に座る。


「…実は私、カレシが出来ちゃいました!」


そして間髪入れずに伝えられたその言葉に、私は思わず目を瞬いた。

それから慌てて声をあげる。


「えっえっおめでとう結愛ちゃん!もしかして皆木(ミナギ)くん?」

「うんそうなの!昨日帰り道一緒になってさ…」


きゃあきゃあ可愛い声をあげながら、結愛ちゃんは興奮気味に昨日あったことを教えてくれた。

皆木くん、というのは同じクラスの男の子だ。
ずっと結愛ちゃんから皆木くんが好きだという話は聞いていたから、カレシなんて彼しかありえないと思った。


「もー幸せすぎて!美恋もカレシ作りなよ〜」

「う…ん、そうだね」


幸せいっぱいの笑みを浮かべながら言う結愛ちゃんに、私は苦笑い。

男の子と喋るのは苦手でほとんど関わったことないし、私に想いを寄せてくれてる人なんていないだろう。


もちろんカレシには憧れるけど、でもどうしたらいいのか分からないのが正直なところだ。