「美恋ちゃんったら1人で何してるの?」
苦手なその声に、ハッと顔をあげる。
白い肌によく映える、チェリーピンクの唇。
長いまつ毛にぱっちり二重の瞳。
クルクルとわざとらしく巻かれた髪は、毛先が傷んで茶色くなっていて。
「…未菜美(ミナミ)ちゃん」
クラスの女子の中でもトップと言えるような彼女──…未菜美ちゃんが、私を見てにっこり微笑んだ。
可愛い笑顔に騙されそうになるけど、未菜美ちゃんはあんまり好きになれない。
「聞いたよ。結愛カレシできたんでしょ?しかも相手は晴斗くん。結愛もやるよねぇ、狙ってた子いっぱいいたのに」
可愛い笑顔とはまるで裏腹に、未菜美ちゃんのその言葉は嫌味ったらしく響いてくる。
結愛ちゃんが悪いことをしたみたいな、そんな嫌な雰囲気。
「…結愛ちゃん可愛いもん。それに結愛ちゃんは、ずっと皆木くんのこと好きだったから」
皆木くんを狙ってた子がたくさんいたなんて話は初耳だけど、結愛ちゃんはもともと皆木くんと仲が良かった。
皆木くんに振り向いて貰おうと頑張ったのは結愛ちゃんで、そんな結愛ちゃんを選んだのは皆木くんだ。
未菜美ちゃんがそんな風に言うのは、何か違うよ。
「やだなぁわかってるよ、結愛が可愛いことくらい」
甘い声と笑顔。
こーゆう表情に男の子は騙されるのか、と思うと、やっぱり男の子を好きになれそうにはなかった。

