唇をキュッと噛んでから、ちがう言葉を紡ぐ。
「…マシロくんがそう言ってくれるだけで嬉しいです」
「えっ、なんで急に敬語?」
「敬語で話したい気分になったんです」
「はっ、なんだよそれ」
本当の思いを隠して紡いだ言葉に、マシロくんがツボったのか笑みを浮かべる。
屈託なく笑う姿に思わずキュンとした。
…そんな笑った顔でこっち見ないでよ。
こんなにドキドキしてるのも、私だけなんでしょ。
マシロくんは私と話してたってときめいたりなんてしないもんね。
だから、ドキドキさせないでほしい。
「急にそんな話し方されるときもいって」
「そっ、それはさすがに言いすぎです……」
「ふはっ…そこはへこむのかよ」
「わあっ、もうっ…!」
楽しそうに笑ったあと、私の頭をくしゃって撫でて…
その手つきがやけに優しくて感じて、泣きそうになった。
ほんとうに、好きになるんじゃなかった。
マシロくんといると、好きが募って、でもその分…ううん、それ以上に苦しい気持ちが募っていく。

