うっとおしいなんて言いながらもこうして話してくれるから。
たまに、ほんのちょびっとだけ勘違いしそうになるんだよ。
でもこの距離感が私たちにはぴったりなのかもしれない。
マシロくんも、知らないふりをこれからも続けていくんだろう。
……それなら、そのままでもいい。
「好きって言ったら付き合ってくれるの?」
「いや、それないね」
「そんな即答しなくても!」
「でも……逢生と話すの嫌いじゃないから」
「…っ、……」
……そこで、優しくするからマシロくんはずるいんだよ。
好きなの、やめたくなくなっちゃうんだ。
たったひとにぎりでも、可能性を信じたくって。
他の女の子には苗字で呼ぶくせに、私だけ下の名前で
呼ぶところも、ほんとうにずるい。
名前を呼ぶ時だけ、いつもより優しく笑うから。
「………真白くん、だいすき」
マシロくんにも隣の人にも聞こえないくらい小さな声は、教室のざわついた空気が消し去ってくれた。
___この想いは、伝えちゃいけない。

