【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜


怒ったまま真央は部屋を飛び出していってしまった。
こうやって怒ると話も聞かずに飛び出していってしまう所は変りやしない。

特に昴さんにはライバル心むき出しなのだ。真央は真央なりにグリュッグエンターテイメントから期待をされている昴さんにコンプレックスがあるのだ。

まぁ幾ら怒って喧嘩をした所で、再び帰る所は同じ。グリュッグエンターテイメントの寮でまた今日も夕ご飯を作って私は真央の帰りを待つ。

「つーか言い忘れた。ま、いいっか。後で言えば」

後片付けをしてタワーマンションを後にする。
寮に帰る前にスーパーに寄って夕食の買い物をする。

スーパーに行った後にコンビニに寄って真央の出ている雑誌を買おうとした時だった。

今月のファッション雑誌の表紙を飾るのは姫岡真央。立ち読みをしていると、ふと隣にあった週刊誌に目がいった。

その表紙にはデカデカと「姫岡真央熱愛?!」と書かれていた。思わず手に持っている雑誌を強く握りしめて、隣の本棚に身を乗り出してしまった。

品出しをしていたコンビニの店員がごほんと咳ばらいをして、こちらをじろりと見つめる。
身を屈めて隣の本棚に恐る恐る手を伸ばす。

震える手で本を捲ったら、そこにはよく知っている大学の駐車場と真央と私が抱き合っている写真が掲載されていた。

「ひぇ!」

勿論私にはモザイクがかかっていたが、真央の顔はバッチリと写っている。何てイケメンなんだろう…。てかこの写真の私足太くない?!って、そんな事じゃなくって…!

デカデカと黒文字で’人気俳優姫岡真央熱愛?!大人気俳優の心を射止めたのは美人大学生?!’と書かれていた。