暫くすると真央はソファーで潰れて眠りこけてしまった。そろそろパーティーもお開きにしようかという雰囲気になった時だった。
私は少しずつ後片付けを始めていた。お酒を飲んでいない昴さんが岬さんを送って行くついでにりっちゃんも送って行くと言ってくれたから、安心していた。
「はい、これお皿ここに置いちゃっていい?」
そう言ってお皿を持ってきてくれたのは、花乃さんだった。
にこりと笑う笑顔。特徴がある訳じゃないけれど、すっきりとした和風美人。
そして驚く程に身長が高い。私も女にしては大きな方だと思うが、その私が見上げる女性も中々いない。
「ありがとうございます。あのー…気を遣わないでください。私の仕事なので…ゆっくりしていて下さい」
「いいの。ひとりじゃあ大変でしょう?手伝うわ」
綺麗な上に優しい。その事実もまた胸がモヤモヤするのだ。
「挨拶が遅くなってごめんなさい。私、グリュッグエンターテイメントの社員で月島 花乃と言います。
昔真央のマネージャーをやっていました。実は社長命令でまたマネージメントのお手伝いをする事になったんです」
「え?!」
そんな話聞いてない。
しかもあの社長命令だなんて…。
嫌な予感しかしないんだけど。
「棚橋静綺さんですよね?真央と付き合ってるって、この間週刊誌も見ました。
社内ではちょっとした問題になっていて」
涼しい目元をこちらへ向けて、彼女はハッキリと言った。何も言えなくなって、下を向いて口を閉じてしまう。



