「花乃さんはグリュッグでは仕事もよく出来る人って話だよ。あの時は真央も忙しかったしサブとしてお世話してたのが花乃さんってだけ。
真央にとってはねーちゃんみたいな存在だったんだと思うよ。だから静綺ちゃんもあんまり心配しないで」
「おねーちゃん…」
「でも昴……。何であの人がここにいるの?
本当に私あいつ嫌いなんだよ。なんかあの人と一緒に居る時の真央って真央らしくないんだもん」
拗ねた口ぶりでシュンと視線を下げる岬さんに対して、昴さんは頭をポンっと叩いて小さくため息を吐いた。
岬さんの言う通り、私もあの人…何か嫌だ。
彼女へ向ける視線は、私が今までに見たことのないような真央のようで…。この胸騒ぎが気のせいであればいいんだけど。
パーティ中ずっと真央とは話さないまんまだった。何故か彼の隣には常に花乃さんが居て、私には姉弟と言うよりはお似合いなカップルに見えてしまうんだ。
今日はお祝いの日。
真央の25歳の誕生日で、そして昴さんとも久しぶりに会って、何故かあんなに嫌われていた筈の岬さんとも仲良くなれて、番号交換までしてしまった。
りっちゃんはパーティーを楽しんでいたように見えるし、瑠璃さんや豊さんにも会えて嬉しそうだった。
私だけこんなつまんない気持ちになってはいけない。
飲めないお酒を飲んで真央は上機嫌になっていて、それを心配するように寄り添うのは花乃さん。その隣は私の居場所の筈なのに。



